ファミリーコンステレーションとは

 

ファミリーコンステレーションとは、カトリックの神父でもあったドイツ人心理療法家「バート・ヘリンガー氏」が確立したグループカウンセリング」の1つで、バージニア・サティア(家族療法の創始者)を源流とする家族療法の一種です。

 

家族布置、体系的家族療法、システミックセラピーと呼ばれることもあり、現在、欧州・北米・南米・アジア・中東など30カ国に及ぶ国に広がっています。

 

 

ファミリーコンステレーションの特徴

 

家族療法と聞くと、「家族の問題」のみを取りあげるように聞こえるかもしれません。

 

しかし、一般的なカウンセリングやセラピーのように、ファミリーコンステレーションでも「個人が体験している困難」が持ち込まれます。

 

実際に持ち込まれるテーマの例を挙げてみます。

 

・お金・仕事

・恋愛・結婚、離婚

・罪悪感(いつも自分が悪いような気がしている)

・人間関係

・心の葛藤

・夫婦問題

・モラハラ

・家庭内暴力

・不妊

・理由なくイライラしたり不安や恐怖を感じる

・なぜかずっと緊張している

・頑張っているのにうまくいかない

・こどもの問題行動

・親との確執

・摂食障害

・自分が分からない

・自分の本音が分からない

・友達が出来ない、孤独

・摂食障害

・未来の不安

・つらい過去の出来事

・つい自分を粗末に扱う

・自己否定や卑下が激しい

・誰かを見下していないと自分を保てない

・誰かを助けることでしか存在意義が見いだせない

・アダルトチルドレン

・依存、共依存

・個人の理由のわからない生きにくさ

・健康上の問題

・会社や組織が抱える問題、方向性や葛藤

・個人に影響を及ぼす社会の問題

 

このように人や組織が抱えるあらゆる問題への取り組みが可能です。

 

また引きこもり、不登校、出社拒否など周囲に大きな影響を及ぼす課題ではあるけれど、問題を抱える当事者がグループカウンセリングに参加できない場合には、ご家族がそのテーマをお持ちいただくことが可能です。

 

ファミリーコンステレーションの考え方

 

「個人の抱える問題は個人の体験に由来する」というのは、通常のカウンセリングの世界の主な考え方です。

 

ファミリーコンステレーションでは、個人の問題をその個人の問題として捉えるのではなく、「家族」という1つのシステムに生じた問題と捉えていきます。

 

問題を抱えた個人を通して、その「家族というシステム全体」に働きかけていくのが、ファミリーコンステレーションの最大の特徴です。

 

家族の中で問題を抱えた個人、問題行動をとる個人は、悪者もしくは弱い人とみなされがちですが、家族の解消されるべき問題の存在を表現して知らせるキーパーソンと捉えるのもファミリーコンステレーションの特徴です。

 

以下に事例を3つ挙げてみます。

 

ある家業の長男で跡取り息子として育てられた男性がいました。

 

ところが好きな家業ではあるけれど、どうしても継いでいく気持ちが定まらず、思春期のあたりから親と衝突することが多くなりました。

 

ほかに特に就きたい仕事もないが、親との衝突が徐々に激しくなったこともあり、どうしても家業を継ぐことに意欲を持てず、男性は家を出て実家に帰らなくなりました。

 

「何故こんなにこじれるのか」

「どうして好きな家業を仕事にすることから逃れようとするのか」

 

男性は自分でもわかりません。

 

しかしこの問題をファミリーコンステレーションを通してみていくと、この男性は実は「次男」であったことが明るみに出ました。

 

長男にあたる方は、お母さんのおなかの中で生まれる前に亡くなっておられたのです。

そのことが明らかになることで、「長男として家業を継ぐことの抵抗感」「両親に対する反発する心」が溶け去ったと言います。

 

心の奥で、「お兄さんが本来あとを継ぐべき人である」、「兄をさしおいて弟である自分を跡取りに据えようとする両親への反発心」が問題として表れていたのです。

 

生まれる前に亡くなったお兄さんの存在を男性は両親から聞かされてはいませんでした。

それは待望の第一子を失った両親には、触れると痛みを伴う出来事だったからです。

 

しかし男性は無意識的に心の奥で亡くなった兄の存在を知っていたのです。

 

わだかまりが消えていったことで、ようやく家族との和解、そして次男としての自分の人生を生きる事ができるようになったのです。

 

結婚を避けて生きていたクライアント(女性)がいます。

 

どうしても「家庭に入ることは、自分の人生が終わること。」という気持ちがいっぱいで、恋愛はするけれど結婚の気配がすると男性とお別れをしていきます。

 

仕事があるからそれでいいと思っていたけれど、年齢を重ねてきたことで将来に不安を感じることも増えてきたと言います。

 

婚活を始めたがどうしても腰が重い。何故そうなるのか自分でもわからないので困っているという相談です。

 

ファミリーコンステレーションを通してわかったことは、そのクライアントのお祖母さんが昔、お嫁入のあとすぐにおなかに子ども(クライアントの母)を授かるのですが、出産のあと数日で他界されていました。

 

「家庭に入るとは、人生が終わること。」という思い込みは、クライアントの母がクライアントの祖母に対して思っていた事だったのです。

 

母のこの思い込みを受け継いだクライアントの女性は、その思い込みから家庭を作ることに実は大変な恐怖感をいだいていたのです。

 

親や祖父母が持っていた思い込みを、小さな子供は疑いもせず受け継いでしまうことがあるのです。

 

思い込みと恐怖から自由になることでこれからパートナーを得て、家庭を築く余地が女性にもたらされたのです。

 

10代後半から20代前半の若者を対象に、コーチングを提供している男性がいました。

 

仕事がなかなかうまく軌道に乗らなく、なぜかコーチングを依頼されてもクライアントが途中で解約してくるというのです。

 

一生懸命熱意をもってコーチとして頑張っているのに何故だろう?

 

解約するクライアントの一人が「どうしてか途中からコーチの先生を生理的に受け付けることができなくなった。」と話しているのを漏れ聞きました。

 

「自分の何が悪いのか?」

 

わけがわからないとファミリーコンステレーションに参加されました。

 

そこで明るみになったことは、そのコーチは中学生でこの世を去った我が子とクライアントの区別がつかなくなっていたということでした。

 

あの子が生きていたら親として最善を尽くして能力を伸ばしてあげて、広い世界に羽ばたかせてあげたい。

 

それがすべてクライアントに投影されていたため、生理的嫌悪をクライアントが感じていたのです。

 

亡くなった子どもへの思いと、クライアントに対して誠実に仕事をする熱意との区別をつけることで、コーチングの仕事の立て直しをはかりました。

 

またファミリーコンステレーションを通して、突然この世を去った我が子との関わりの整理がついて心が穏やかになる体験をされました。

 

このように今現在抱える困難には、「家族や家系の歴史が関わっているという視点」でファミリーコンステレーションは進んでいきます。

 

ファミリーコンステレーションの効果

 

ファミリーコンステレーションは、個人の抱える問題を「家族システム」から捉えます。

 

それによって「どのような効果が得られるのか」を以下にまとめました。

 

・これまでとは違った新しい物事の見方が提示されます。

・これまでにない「気づき」が浮上します。

・多面的な解決が見出されます。

・根本的な癒しを促します。

・なぜこんなに苦しいのかの根本原因を発見します。

・心の中で起きていることを視覚化する事で問題の整理ができます。

・苦しむことで自分が何をしようとしていたのかが見えます。

・働きかけを受けた方の自然な変容と共に家族全体に変化が徐々に伝わっていきます。

・古い心理パターン、行動パターンを脱し、新しい生きやすいパターンに馴染んでいきます。

 

 

ファミリーコンステレーションで行う事

 

ファミリーコンステレーションでは、「あなたが抱える問題はあなたのせいではない」という観点から働きかけを行います。

 

ファミリーコンステレーションでは、「隠された存在(忘れ去られた存在)」を見出し、「家族のもつれ」を紐解く作業を行います。

 

ファミリーコンステレーションでは、個人に現れている問題が表現している「隠された存在」を見出していきます。

 

家族や家系の中の忘れ去られた存在があることを問題が示してくれているのです。

 

個人の抱える問題はこの「家族のもつれ」の反映なのです。

 

また問題の背景の想像すらしなかったところに「家族の誰かを深く思いやる心」が隠れていることが発見されることで、癒しと解決の可能性が大きく広がります。

 

深い家族とのつながりが感じられる瞬間です。

 

 

ファミリーコンスタレーションがもたらすのは、原因の追及や分析ではなく、人の心の奥深くある魂のつながりの再発見です。

 

その独特のアプローチは従来のカウンセリングやセラピーの方法とはまったく異なり、問題を持ち込んだ個人だけでなく、グループカウンセリングに立ち会った参加者全員が、思いもよらなかった新たな視点を得ることになります。

 

ファミリーコンスタレーションが目指すところ

 

従来のカウンセリングでは、個人の抱える問題はその個人に原因があると考え、個人の歴史に焦点をあてます。

 

ファミリーコンステレーションは「個人の抱える問題は、個人の属する家族や家系、学校、組織、地域社会の中にある問題の表現」だと考え、個人が関わり深い環境にも焦点を当てます。

 

これにより従来のカウンセリングでは根本解決に至らなかったケースにも光が当たります。

 

グループカウンセリングを通して、個人とその家族、個人と個人が属する集団の中の力動を目の当たりにし、見えない秩序を学ぶことで、問題の背景と秩序の乱れについて知り、秩序の回復の手立てを知り、快適に日常生活を送ることを目指します。

 

ファミリーコンステレーションが得意とする点、それは個人の問題や葛藤解消にとどまらず、複数の人のかかわり、つまり家族や組織、社会のテーマを扱うことが可能だという点です。

 

グループカウンセリングの流れ

 

家族全員のご参加は不要です。問題を感じている方、問題を抱える方がご参加下さい。参加前に家系の中の出来事をお調べいただくと進行がスムーズです。

 

グループカウンセリングの場合は、当日の参加者が家族の構成メンバーの代理をすることで進行します。

 

代理をしてくれる方を「代理人」と呼びます。

 

ファシリテーター(カウンセラー)がクライアントにインタビューを行い、働きかけを行うにあたって必要な事柄をお聞きします。

 

それに基づきクライアントの家族システムをグループの輪の中(フィールド)に再現します。

 

「コンステレーション」とは、星座のように配置するという意味です。

 

 

そのために、クライアント自身に父親、母親、ご本人自身、兄弟姉妹など、家族の構成メンバーを代理してくれる人をその場の参加者から選んでもらいます。

 

その時に分析的に考えて配置するのではなく、直感的に「その位置」と感じるところに代理人を配置します。(箱庭療法を知っている方はあの感覚です)

 

 

フィールドに配置された代理人は、あたかもアンテナのような役割を果たします。

 

代理人は、クライアントの家族の詳細は知らないにもかかわらず、その代理する相手の感情や感覚を感じるようになります。

 

この時、代理人個人の感覚や感情はあるのですが、自分の感覚は頭の隅に置いておかれ、代理する相手の感情や感覚も感じます。

 

この不思議な現象を活用しながら、その家族にある「もつれ」を探ることで、これまでわからなかった潜在的問題が明るみに出ます。その時フィールドには、問題解決に向かう流れが生じます。

 

ファシリテーター(カウンセラー)は、その問題解決への流れに沿いながら、代理人の配置を変え、代理人同士の対話を促進し、問題解決に向かいます。

 

最終的には登場した代理人の状態が安定し、その関係性も安定するように働きかけます。

 

そしてそれが現実の問題解決につながっていくのです。

 

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個別カウンセリング

 

個別カウンセリングの場合は、代理人のかわりに専用の人形を使って行います。

 

 

基本的なカウンセリングの流れはグループカウンセリングと同じです。

 

またグループカウンセリングと同様に事前に家系の中の出来事をお調べいただくことでより精度の高いカウンセリングとなります。

 

人間関係、親子の確執、未来への不安、つらい過去の出来事、今とても困っている事など、「ファミリーコンステレーションの特徴」で記述したようなテーマで、多くの方に受けていた

だいております。

 

 

その他にも、このような理由で個別カウンセリングを受けられる方も多くおられます。

 

・誰にも知られず問題を扱ってほしい。

・大勢の前で自分の問題を分かち合うことに大きな抵抗がある。

・職業柄、大勢の前で問題を分かち合うことを避けたい。

・グループカウンセリングに参加したいが、日程が合わない。

・グループカウンセリングに参加したいが、終日参加できない。

・グループカウンセリングに参加したいが、緊急の案件なので開催を待てない。

 

家族や家系の中の出来事について、少しでも情報収集をしていただいたうえで個別カウンセリングを受けていただくと、問題への働きかけがよりスムーズになります。

 

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ファシリテーター紹介

 

藤木ミホ

ファミリーコンステレーションファシリテーター

心理カウンセラー・浄土宗教師(僧侶)
米国NLP™協会認定NLPトレーナー

 

生家は滋賀県の寺院。子どもの頃から仏教の教えに触れて育つ。

大学を卒業後、会社員を経て心の援助の仕事に従事。

個別カウンセリング、グループカウンセリングなど、10年以上にわたって続ける。

カウンセリング実績は延べ4000回以上。

NLPトレーナー(講師)としては全8~10日間のコースを150コース以上担当。

また、過去には高校や大学での心理学講師としても活動。

近年はカウンセラー、コーチ、セラピスト、催眠療法家、占い師の方々の技術力向上にも力を注いでいる。

 

ワークショップのご案内

 

ワークショップとは、ファシリテーターの話を参加者が一方的に聞くのではなく、参加者自身が体を使って体験したりするなど、参加体験型、双方向性のグループ学習のことです。

問題解決のためのグループカウンセリングも意味します。

 

開催日:未定(下記お問合せフォームからお問合せください)

時間:10時~17時

会場:大阪・淀屋橋(詳細はお申込み時にご案内いたします)

定員:各日8名(先着順といたします)
参加費:一日4万円・二日間7万円・三日間9万円(すべて税込)

持ち物:メモを取る方はノートと筆記具

※一時間程度お昼休み、その他、適宜休憩時間を設けます。

 

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最後に・・・

 

ファミリーコンステレーションは、問題を抱えた方、心理療法のためだけのものではありません。

 

例えば、カウンセラー、セラピスト、コーチ、教師をはじめ、児童教育の分野で働く人、医療、福祉の分野で働く人、子育て中の方、会社組織を動かす立場にある方、自己成長に興味のある方にもおすすめできるものです。

 

ファミリーコンステレーションは、頭でわかったような気になるワークショップではなく、体験を通じて体感の伴う洞察を得ていく場です。最初は、場に展開される不思議な現象に目を奪われ、世界の秘密を知ったような気分になるかもしれません。

 

しかし、あなたはその場で起きる事に立ち会い、体験することを通じて、やがて人間の能力の底知れなさ、人生の美しさ、生命の尊さに触れてゆくことになります。

 

あなたが湧き上がってくる温かい力を充分に感じることにより、豊かな気持ちで自分の人生を進む力強い一歩が踏み出されます。

 

ワークショップ、個別カウンセリング、ともに是非ご参加をお待ちしております。

 

ファミリーコンステレーション・ファシリテーター 藤木ミホ

 

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